将来の社長後継者をどう育てるか、どういう基準で選別するか、は経営者が果たさなければならないもっとも大切な使命の一つです。一般的に後継者に望まれる資質とコンピテンシーについて説明したいと思います。
✧ 将来の後継者の核になる4つの資質
私たちがこれまで考えてきた将来の後継者候補者が有すべき基本的な資質とコンピテンシー(行動特性)は以下の通りです。
上記1と2はわかりにくいと思うので、さらにブレークダウンすると、下表のとおり5つの行動特性に分けることができます。
✧ 期待される5つのコアになる行動特性 Core-competencies
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行動特性 |
具体的な行動事例 |
方向を決定する能力 |
戦略的な思考と洞察力 |
先を見る洞察力があり、これから何が起きるのかを予測する。将来に備え何をすべきかを判断し、将来のビジョンを創造し、戦略をたて、決断し、実行に移す。
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鋭いビジネス感覚 |
ビジネス感覚があり、利益をうみだす仕組みを見つけ出す。問題や課題をコスト、利益、市場、および付加価値の視点からとらえ、収益力と株主価値を高める。
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グロ-バルな変化への対応 |
グルーバルな市場の構造を理解し、複雑で多様な変化を予測し、先手を取って適切に対応する。現状の打破や業務改革の必要性を分析し、先見性をもって判断し、決定したことについて断固たる行動を起こす。
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組織全体を結集する能力 |
人を奮い立たせ動機付ける |
ビジョンの実現や困難の克服に向けて、人を励まし、勇気付け、説得し、あるいは感動をもたらして、組織メンバーを動かす。あるいは行動の変化を引き起こす。
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計画性と組織化 |
ビジョンと目標を明確にし、人的および有形無形のリソースを組織化し、有効に組み合わせて最大の結果を出す。人とチームワークを信頼し、協力して物事にあたらせる。
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✧ 21世紀という時代
20世紀においては、上記資質と行動特性に、そのときの個別企業の経営状態や経済環境を加味すれば望ましいい後継者像が浮かび上がった。しかし、21世紀においては、テクノロジーの急激な進歩と米中両国のかけひきなどから、いまや5年先の近未来ですら予測するのが難しい状況になっています。
そこで、必要項目を最低でも2つ追加する必要があるように思います。それは、1つは、ITやAIを中心とするテクノロジーを活用する能力、もう1つは、柔軟性とレジリアンスのある経営体質を維持する能力です。
2つを加味して整理すると次のようになります。
しかし、言うは易く、行うは難し!
嘆いている暇はありませんが、それにしても難しい時代になったものです。
以上