人生をどう生きますか?


人生をどう生きますか?

難しい問ですね!

先日私のワークショップで「あなたは人生をどう生きたいですか?」という問いを投げてみたら、皆さんから次のような答えが返ってきました。

  • 私は自分を信じて生きる!
  • 私は自分の尺度で伸びやかに生きていきたい!
  • 私はおおらかに生きていきたい!
  • 水のように生きたい!
  • 物事に感謝して生きたい!
  • 私は「我が人生に悔いなし!」と死ぬ時に言える人生を送りたい!
  • 人と笑顔で接していきたい!
  • 気持ちのよい人たちと心豊かに生きていきたい!
  • 私の後に続く人々のために、より良い世界を残したい!
  • オンリーワンの仕事で生きてきたし、これからもそう生きていきたい!
  • 感覚をとぎすまして、感じる感覚を大切にして活きていきたい!
  • いつも創造的でユニークで、好奇心旺盛な自分でありたい!

人生の生き方は、ほんとうに「人それぞれ」なことが分かります。人には人それぞれの価値観や信念や使命感があって、それに沿って自分らしい人生を生きていきたいという願いが心の奥底にあるのです。すばらしことです。

 

しかし、そうしたすばらしい願いがあるからといって、実際にそのような人生を生きていけるかというと、必ずしもそうではありません。私たちはとても騒々しい世界に住んでいるからです。夫婦、家、子ども、仕事、失業、人間関係、請求書、借金、両親、恋人、病気、傷害、死、貧困、不正、暴力、怒り、不安、恐怖など、この世の中は騒々しくて、慌ただしくて、やっかいごとだらけなのです。

さまざまなやっかいごとが複雑に絡み合って、私たちの心を振り回し、2つの意味で私たちのたいせつな時間とエネルギーを浪費させます。

 

 1つは、「過去や未来への囚われ」です。

よく考えてみると、私たちはかなりの時間とエネルギーを、すでに起きてしまったことや終わったことにクヨクヨしたり落ち込んだり、あるいはまだ起こっていない未来を想像して不安になったり悩んだりすることに費やしています。そのために「いま」しなければならないことに使える時間とエネルギーが足りなくなってしまうのです。

他の1つは、「焦点の分散」です。

この世の中はあまりにも騒々しくてやっかいごとに溢れているために、私たちは自分にとって「ほんとうに大切なこと」は何なのかを見失ってしまいがちです。そのためにものごとの価値判断や優先順位をつけることが難しくなり、結果として自分にとってあまり意味のないことに時間やエネルギーをつぎ込んでしまうことになるのです。

 

では、私たちはどうしたら「自分が生きたい豊かで意味のある人生」を生きていくことができるのでしょうか?

上記の2つから次のことが言えると思います。

  

1つは、やっかいごとに振り回されている状態から脱け出し、自由で冷静な心を取り戻すことです。  

私たちは、自分自身を振り回す心の動きを、一定の距離を置いて冷静に観察するスキルを身につけることです。その方法の一つはマインドフルネス瞑想法(注意集中型瞑想)です。 

 

他の1つは、自分がたいせつにしている価値観や信念や使命感を明確化し、意識化することです。

価値観や信念や使命感は、私たちの毎日の判断や行動の基準となるもので、人生を生きていく際に方向性を示してくれる、いわば人生の羅針盤なのです。 

なお、価値観や信念や使命感などを明確化する際に、お願いしたいことがあります。それは、自分の人生のことだけを考えるのではなく、私たちが関係性の中で生きていること、社会や世界そして生態系の一員であること、そして未来の子孫のためにより良い世界を残す義務があることを頭の片隅に置いていただきたいことです。 

 

宗教哲学者J・クリシュナムルティはこう言っています。 

「世界は私たちと異なっていません――世界が私たちなのです。だから話はかんたんです。もしも私たちが、1人1人が変わるなら、私たちは世界を変えるのです。たとえ私たちの1人が変わっただけでも、それは波及効果をもちます。善は伝染性をもつからです」(同氏著「人生をどう生きますか?」より)