5つのパワークウェスチョン


5つのパワークエスチョン

良い質問はしばしば答えよりも強力です。 

質問は、私たちの思考、感情、行動に影響を与え、ときには、「頭にガツンと一撃」食らわせたようなパワーを発揮することもあります。そうした質問をここでは「パワークエスチョン」呼ぶことにします。 

その中から基本的なものを選んで5つだけご紹介しましょう。 

 

1.「あなたはどう思いますか?」 

あまりにもありふれた質問なので「これがパワークエスチョン?」と意外に思われるかもしれません。しかし、この質問はパワークエスチョンのさらに一段上をゆくスーパー・パワークエスチョンなのです。  

 

「ところで、君はどう思う?」 

この質問のすごいのは、相手に考えさせること、つまり「考える」という脳の高度の活動を開始するよう促すことです。この質問は、部下にもっと主体的に考えてもらいたい、もっと意見を言ってもらいたい、プロジェクトや問題解決プロセスに積極的に参加してもらいたいなどと思ったときにはいつでも使える万能ツールです。

質問は、相手方の自主性や主体性刺激し、さらなる内省や行動へと動機づける機能をもっています。このことは、有能な後継者を育てたいと思っている企業の経営者やリーダーの方にとってとても重要です。  

どんなときに使えるのか?

部下から何か相談を受けたとき。

・皆で問題やその解決策について話し合っているとき。

・あなたがご自分の意見を伝えたあとで。

・話し合いにもっと積極的に参加してほしい人に。 

 

2.「あなたならどう提案する? 

上記の「君ははどう思いますか?」という質問に対して、あまり真面目に考えていない部下や、当たり障りのないどっちつかずの態度でとりあえずこの場を切り抜けられればと思っている部下には、ぜひこの質問をしてみたいものです。 

また、批評家や評論家的なコメントをする部下がいるかもしれません。そうしたコメントもときには大切ですが、ビジネスの問題を解決しなければならないときはそれでは困ります。具体的な解決策を提案してもらわなければなりません。この質問を増やすことで、部下は自然により真剣に、より主体的に問題に取り組む姿勢を身につけていくでしょう。  

どんなときに使えるのか?

・相手の発言のあとなら、どこでも、いつでも。

・発言の内容をもっと詳しく知りたいとき。

・相手にもっと具体的、実践的に考えて欲しいとき。

・プロジェクトにもっと主体的に参加してほしいとき。

 

3.「なぜそう思うのですか?」 

この質問は、相手の意見や考え方の理由や根拠を問う質問です。この質問で、相手は、論理的な思考力と説明能力とが問われます。 

大量で多種多様な情報が溢れ、かつ急速に変化していく、とても忙しい時代です。私たちは、必要充分な情報を素早く集め、軽重や緊急度などから選別し、適切な基準によって解釈・評価し、因果関係を明らかにしたうえで適切な判断を下さなければなりません。

問題はどうしたらそうした思考能力を鍛えることができるのかです。

「なぜ」質問は、部下の論理的な思考能力を育てる最も効果的なツールのひとつです。上司が「なぜそう思うのか?」という質問を繰り返すことによって、部下は自然にものごとを論理的に考える習慣がついていきます。 

どんなときに使えるのか?

・いいかげんな、あいまいな意見を言う相手に?

・相手が感覚的に、あるいは直感で発言しているとき。

・相手が完全にコミットしているかどうか確かめたいとき。

・疑念を一掃し、白か黒かをはっきりさせたいとき。

・相手が正直に本音を言っていないと感じられたとき。

 

4.「で、どこから始めますか?」 

夢や希望を語ることはできても、それを計画に落とし込むことはできても、実行する段階で具体的な行動を起こせないで終わる人は少なくありません。 

そうした人は、行動を起こさなければ何も起こらないということを頭ではわかっています。だから説明や説得はあまり効果がありません。その代わりに、「まず、どこから始めますか?」、「明日、何をやりますか?」というシンプルな質問を投げかけたいものです。

 夢や計画は大きくてもいいのですが、最初の一歩は「小さければ小さいほど」、タイミングは「早ければ早いほど」実現する可能性は高くなります。  

どんなときに使えるのか?

・夢や希望や計画を聞いたあとで。

・具体的な行動レベルで考えてほしいとき。

・なかなか動きださない人の背中を押したいとき、相手の発言のあとで。  

5.「あなたの夢は何ですか?」 

職場の表面的なお付き合いのなかでは、この質問をする機会はそう多くはないかもしれません。しかし、もしチャンスがあったら是非投げかけてみたい質問です。 

どんなに苦しい状況にあっても、夢を描くことで、私たちには未来への希望と今を生きるエネルギーが生まれてきます。夢は私たちが生きていくうえでとてもたいせつです。 

どんなときに使えるのか?

・お付き合いしている人や友人とのつながりを深めたいとき。

・その人が情熱や願望を取り戻すのをサポートしたいとき。

 

人間、いくつになっても子供心はどこかに残っています。夢を聞く質問は相手の脳細胞のネットワークのどこかにかすかに残っている子供心を刺激するに違いありません。

最後に、ウォルト・ディズニーが友人のボブ・トマスに語った言葉を引用しましょう。

 

「ディスに―ランドは子どもだけを相手に作っているんじゃない。人はいつから子どもでなくなるというのかね。大人の中に、子どもという要素がすっかり消えてしまってると、君は言い切れるかい? いい娯楽ってやつは、老いも若きも、誰にでもアピールするものだ。親が子ども連れで来られるところ、いや、大人どうしで来ても楽しめるところ‥‥。僕はディズニーランドをそんな場所にしたいんだ」  ウォルト・ディズニー