ＡＣＴは、理論的には、右図の六角形（ヘキサフレックス）が示す通り、６つのプロセスから構成されています。

・今、この瞬間への柔軟な気づき

・価値

・コミットされた行動

・文脈としての自己

・脱フュージョン

・アクセプタンス

そして中心には心理的柔軟性が位置しています。

なぜ心理的柔軟性が中心にあるのか、そして各プロセスの意味とそれらがどう相互に関係しあっているのかを理解することをとても大切です。

しかし、実際に相談者（クライエント）にたいして説明する場合には、簡明に２つのプロセスからなる心理療法と説明するのが実践的です。

　⑴ マインドフルネスのプロセス（図の左側）

　⑵ 価値と行動活性化のプロセス（図の右側）

ＡＣＴは心理療法のひとつですが、病的症状を直接的に治療しようとはしないのが特徴です。

その代わりにＡＣＴは、クライエントが「豊かで充実した意義のある人生」を送ることができるように手助けをします。マインドフルネス瞑想などによって認知（思考や感情）に距離を置き、その内容に振り回されずにすむような「心理的柔軟性」を身につけ、その心理的柔軟性を基盤にして、自分の価値に導かれて豊かで充実した意義のある人生へ向かって一歩足を踏み出せるようサポートします。

この点が、ライフキャリアカウンセリングやコーチングと、ある意味重なるところです。

ＡＣＴでは、人生の質を決めるのは、「価値に導かれたマインドフルな行動」ができるかどうかにかかっていると考えます。言い換えれば、ＡＣＴは「価値に導かれてマインドフルに生きる」というひとつの人生の生き方を提案しているのです。

そして、どれだけ多くの症状を抱えていても、それに対してマインドフルに対応している限り、そのような行動をとることは可能であると考えています。病的症状は、クライエントが意義のある人生に向けて歩みだすことの副次的効果として、自ずと軽減されていくと考えるのです。